アイテム画の描き方(ボトムス)

アイテム画

アイテム画とは、服の形や構造を細かく丁寧に描いた平面的な絵のことです。
誰が見ても具体的に衣服のデザインが伝わるように描かれているので
縫製仕様書やカタログ、商品リストなど多岐にわたって使用されるものです。
デザイナーやパタンナー、縫製工場、プレス等アパレルメーカーの各職種をつなぐ大事な役割を担っていて、
基本的にはフロントスタイルとバックスタイルを描きます。
全体のコーディネートを見せるデザイン画とは違い、服の細かい部分を描いていくので定規を使って描いていきましょう。
デザイン画を描くときに使った枠を使います。直立ポーズのボディを描いておきましょう。
トップスが8cmになるように150%に拡大し、アイテム画を描くときの下敷きにして練習しましょう。

アイテム画を描くときの注意点

  • 左右対称に描く(半身を描いてそれを写す)
  • 着丈・ボリューム感の違いにこだわる(常に同じボディを下敷きにして着装する)
  • シワは描かない(デザインで使われている以外のシワは描かずに定規を使い直線的に描く)
  • アイテムのパーツ構成を明確に(服のディテールをよく観察する)

準備する物

・アイテム画のフォーマットになる枠に描いたボディ

・ケント紙

・トレーシングペーパー

・定規

・マスキングテープ

・6Bくらいの鉛筆

・好みの濃さのシャーペン

・ドローイングペン

共通の描き方

まず左右対称に描くための大まかなアイテム画の描き方を説明をします。

①トレーシングペーパーを山折りにし、広げる。

②次にボディの中心線とトレーシングペーパーの山折りの折れ目部分を合わせてマスキングテープで止めて固定する

③まず左右どちらかを半身だけをトレーシングペーパーに描きます。

④描き終えたら山折りにし、もう半身を写す。

⑤左右どちらかにしかないデザインがある場合は描く

⑥下書きをケント紙に転写する(トレーシングペーパーに描いたものを裏から鉛筆をこすり塗りつぶして転写シートのようにして使う)

⑦ケント紙に写した物をペン入れする。太さは0.05~0.2を使い分けて、
輪郭は太く、ステッチなど細かいディテールや切り替えは細いものを使う。

アイテム画を描く前に“ゆとり”について

服は運動量の確保や通気性・保湿性を考えてゆとりを入れています。
全身タイツのようにボディにぴったりとフィットしたシルエットにならないよう
ゆとりを考えて描きましょう。

ボトムスの描き方

まずはボトムスから説明します。ボトムスにはスカートとパンツがあります。
パンツはそれぞれに脚が入るので二股に分かれ、スカートは筒状で両脚の分かれていないものです。

●フレアスカート

フレアスカートのフレアは太陽の「フレア」が語源です。
下に向かって広がったゆらめく裾の描き方がポイントになります。
まず、スカートの構造を考えましょう。
フレアスカートは平面的に見ると台形のような形で、立体にすると円錐になります。
そこにギャザーや布の分量によりフレアの波が作られます。
実物のスカートや写真を見ながらだと描きやすいでしょう。

 

①「共通の描き方」の①~②をしたら、ますは半身のスカートのウエストラインを描きます。
ここでウエストをぴったりに描くのではなく、2mmほどのゆとりを持って線を長く描きましょう。

 

②スカートのフレア部分を描きましょう。
下敷きのボディが着ているように腰のふくらみに合わせ自然にゆとりを持たせながら柔らかく広がる裾を描きます。

 

③裾を描きます。
ハンガーに吊した状態をイメージし、まずは楕円の案内線を描きましょう。
その楕円に沿ってフレアの波を描きます。立体感を出すために2,3か所段差を入れます。

 

④フレアのシワを放射線状に描きましょう。
中心線に近いフレアは、写して一枚のスカートになったことを考えて中心線に合わせて描きましょう。
アウトラインに近いフレアはアウトラインの線に合わせてフレアを入れます。
線をぴたっと止めずに、流すようにはねると軽やかな線になります。

 

⑤いらない案内線の線を消しましょう。
半分に折り、転写して左右のシルエットを確認しながら薄い線をなぞって描き起こします。

 

⑥また片側だけにウエストベルト(スカートの履き口)を描きましょう。

 

⑦ウエストベルトの下にギャザーを入れましょう。
フレアとなじむようなラインでひらがなのりを描くイメージです。
このときにギャザーとフレアの間にあまり空白を作らないように、
お互いが交互に入り乱れているように描くとなじみがよくなります。
描き終わったらまた半分に折り片側に転写し、片側を描き起こしましょう。

 

⑧左右対称でないパーツがあるときは片側にそのディテールを描いて完成です。

●プリーツスカート

プリーツスカートのプリーツはひだ折りのことです。
ウエストから裾まで一定で等間隔に折り目がついているのが特徴です。
基本はフレアスカートと同じ描き方で、
違う部分はプリーツのひだの数を決めてウエストベルトから裾までを繋ぐことです。
ひだ折りの向きを一方向に決めて、ひとつのひだずつ1mmほど片側に斜めに上げて描きましょう。

●パンツの描き方

ディテールのたくさん入ったストレートのワークパンツを描きましょう。
ワークパンツは脇にポケットがあるのがポイントです。
パンツはワーク系は歩幅のスタンスが広く(オープンスタンス)、
フォーマル・ビジネス系は狭くなります(クローズスタンス)

 

①パンツのシルエットを片側に描きます。
ウエストベルトの位置はデザインによって様々なので位置には気を配りましょう。
ゆとりを2mmほど入れウエストベルトの幅を直線で描きます。
股まではボディの腰のラインに平行に描きましょう。

 

②今回描くワークパンツの裾のデザインはストレートなので、
腰から下は一直線に描きます。足首の左右のゆとりは2mmにします。
裾は地の目と直角になるので少しななめにしましょう。
(地の目とは:布目のこと。布のたてとよこの織り目。布は糸が織られ作られている。パンツは布の縦に合わせてパターンを置き裁断して作られる)

 

③股部分は少し曲線に描きます。

 

④半分に折って転写し、片側を描き起こしましょう。

 

⑤ウエストベルトの前垂れを描きます。
パンツはお尻のある後ろ側より股のある前側が下がっています。
幅が均一になるように心がけましょう。
ベルトループを描き、前側のポケットも描きます。脇のポケットも描きましょう。
地の目に直角に、脇に平行にします。

 

⑥半分に折って転写し、写したほうの線をなぞって描き起こします。

 

⑦アウトラインに平行にインシーム(股下)を描きます。
前ボタンとフライフロント(前の履き口にあるファスナーのある部分)を描き、
それぞれステッチを等間隔になるように入れて完成です。

 

⑧フロントスタイルが完成したらバックスタイルも描きましょう。
前も後ろもシルエットは同じなのでそのまま写しましょう。

 

⑨後側から見える前と同じシルエットを写し、後ろにしかないデザインも描いて完成です。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました